#2064 昔の日本より (2009/11/21)

下の文は、
ある本の一部分から僕がインスパイアされ、
僕がインスパイアされたことを、まとめたものです。
(インスパイアされていますが、
 その本が伝えたいメッセージと、
 自分が伝えたいメッセージはまったく違います。)

登場人物は、スタートレック風になってます。


----
インドで車を運転するのが怖かったから、
僕はインド駐在中に運転手を雇っていた。
彼の名前はデータ。
運転手であるインド人の多くと同様、
データは無教育で、10代の前半に家事手伝いのために学校を中退した。
その後、しばらく兵士として軍隊にいた。
今は運転手をしている。
小さな家に住み、
その給料で(といっても僕の一ヶ月分のコーヒー代とそう変わらないような金額だけれど)妻と幼い娘、そして自分の母親を養っている。

彼は朝早く迎えに来て、
僕がどこかに出かけるときまでひたすら車の中で待っていた。
目的地に着くと、
また僕が戻ってきてどこかに行くときまで車の中で待っていた。
それが夜更けまで続くこともあった。
運転している時間はほんのわずかで、
残りの時間はずっと車の座席で待っていた。

僕が申し訳なく思っていると、彼は
「お気になさらないでください、
 待っている時間は本を読んでおりますので。」
と答えた。

何を読んでいるか聞くと
ひたすら勉強のために本を読んでいた。
実際、データは6カ国語を流暢に話すことができる。
またインドの歴史と文化についてもよく知っていた。
そこで、僕はインド文化の知識に飢えていたこともあって、
データにプライベートなインド文化大使をお願いした。
それからは、車中はいつも言語、文化、あるいは歴史のクラスになった。

データがすべての時間を勉強に費やすのは、
自分自身の知識欲のためというよりも、
自分が学んだことを幼い娘ラルに教えられるようになるためだった。
彼は、娘には自分よりもいい生活をしてほしいと考え、
そのために必要な技術と知識を娘に用意しておこうと決心していた。
そこで、正式な教育を受けていないにもかかわらず、
空き時間にこつこつと勉強を続けて、
まるでルネサンスの知識人のような幅広い教養を身につけていた。

データは発展途上国の中産階級の下のほうに位置する男だが、
その彼が6カ国語を流暢に話し、
家族の生活を変えるために勉強に打ち込んでいるのだ。
しかも、こういう努力をしているのは彼だけじゃない。
仮に今、君がインド人と一緒に仕事をしているとしよう。
彼らのちょっとおかしな英語の使い方や癖があるアクセントから、
彼らの知的レベルを見下したくなるかもしれない。
でも、君が話しをしている相手は、少なくとも2,3カ国語、
人によっては、4,5カ国語を話すことができる。
君が話せるのは何カ国語だ。

言いたいことは、
発展途上国の労働賃金が安いだけで
知的レベルは大したことないヤツらだと考えるのはやめたほうがいい。
そういう考え方は将来の成功を妨げる。
彼らは決して君よりも知的レベルが低いわけではない。
君よりも技術も知識も上だが、
コールセンターでオペレーターとして働いている人もいる。

さらに重要なことは、
彼らは『飢えている』ということだ。
彼らのひと世代前は食べ物に飢えていたかもしれない。
しかし、今の彼らが飢えているのは、良い生活、別の人生に、だ。



関連:
#2051 いまだ解けない問題@日記 - HE PROJECT3 2009-10-31


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