#3169 【寓話】面白い遊びというものは理屈から生まれない@日記 (2013/06/02)

星新一の「あるエリートたち」(『盗賊会社』講談社文庫収録)という短編。

新入社員の間で試験が行なわれ四人が
「エリート」として選抜される。どんなプロジェクトに参加させて
もらえるかと緊張している彼らに与えられた課題は

「何もするな」

金も時間も自由に使ってよいが生産的なことは一切しては
ならないという実に奇妙な命令である。当惑したまま彼らは
リゾート地にある重役用の高級寮に移され彼らは贅沢
きわまりない生活が始まる。
金は使いたい放題。本や漫画は読んでも構わないが未来に
備えてビジネスの勉強をしようとすると止められる。
とにかく仕事関係は御法度らしい。
世界中のおいしいものや楽しいゲーム、そして美女が集められ、
彼らは今頃一生懸命働いているはずの同僚への後ろめたさ
を忘れるため、ひたすら遊びにのめり込んでいく。

そんな生活が何年も続き、仕事に復帰するという願望も
薄れた頃、あらゆるお楽しみに飽きてしまった倦怠期が
やってくる。何をやってもつまらない。

そこで彼らは、自分たちでゲームを考え出すことにする。
あらゆる遊びをきわめ彼らの考え出したゲームは
スポーツと知的ゲームとギャンブルの長所がミックスされた
いいようもにほど素晴らしいものだった。
そのゲームにうち興じる彼らのもとに突如、 
これまで姿を現したことのなかった本社の重役がやってくる。

「よくやった」

と喜色満面の重役にエリートたちはクレームをつける。
ゲームの開発が目的だったのならば、最初からそういって
くれたら一生懸命開発したのにと。
しかし、重役はそんなクレームを退ける。
「いや、それではだめなのだ。現在あるスポーツやゲームは、
どれも十九世紀以前に生まれたものだ。
そして現在、今ほど新しい遊びが強く求められている
時代はないのだが、人々はせかせかし、
開発する精神的な余裕を失っている。
面白い遊びというものは、理屈から生まれない」

さらに、面白い遊びというものは、生活の苦労など念頭にない
貴族が大金持ちから生まれるものだと分析し、
いかにも満足げにこう続けた。
「そこで、優秀なきみたちを昔のひま人の環境に置き、
アイデアがにじみ出てくる形をとるのを待ったのだ」「遊ぶ精神」
のみが新たな「遊び」を創出しうる。

いかに遊ぶことができるか、
それがこれからのビジネス創造の大きなカギとなるのである。

(谷口正和 著 「遊び」力をつける から)

7/19のブン

---------------
追記(2013/06/02-00:27)

関連:
#3163 【寓話】グランドファーザーとつり人@日記 - HE PROJECT3 2013-05-09


いいね (228人)

※ 独自 いいね です。facebookのそれとは関係ありません。白くなっている場合はすでに押し済みです。


少し関連:
#5578 ヒンデンブルグ・オーメンとは@日記 - HE PROJECT3 2019-12-27


QR Code
この記事のPRコード


メニュ-:
人気記事ランキングに戻る
最近の記事リストに戻る
更新された記事リストに戻る
アクセス履歴に戻る
検索結果リストに戻る



@Amazon.co.jp

『稼ぎたければ、働くな。』
の記事はこちら(#4571)


旧モードで表示


437,190 UU/ 1,320,999 PV/ 418,658 AA (TTL)

197 UU/ 678 PV/ 214 AA (AVE ADAY)

/ コメントを見る


Googleによるサイト内検索


follow us in feedly

RSS


Now:20240519025052 date:2013/06/02 #3169 ips:749

このサイトは匿名の個人の責任で発信しています。関係する会社や団体の意見とは関係がありません。

© 2007 oga.sakura.ne.jp. All Rights Reserved.

ご意見・ご要望・お問い合わせ

@heproject3