星新一の「あるエリートたち」(『盗賊会社』講談社文庫収録)という短編。
新入社員の間で試験が行なわれ四人が
「エリート」として選抜される。どんなプロジェクトに参加させて
もらえるかと緊張している彼らに与えられた課題は
「何もするな」
金も時間も自由に使ってよいが生産的なことは一切しては
ならないという実に奇妙な命令である。当惑したまま彼らは
リゾート地にある重役用の高級寮に移され彼らは贅沢
きわまりない生活が始まる。
金は使いたい放題。本や漫画は読んでも構わないが未来に
備えてビジネスの勉強をしようとすると止められる。
とにかく仕事関係は御法度らしい。
世界中のおいしいものや楽しいゲーム、そして美女が集められ、
彼らは今頃一生懸命働いているはずの同僚への後ろめたさ
を忘れるため、ひたすら遊びにのめり込んでいく。
そんな生活が何年も続き、仕事に復帰するという願望も
薄れた頃、あらゆるお楽しみに飽きてしまった倦怠期が
やってくる。何をやってもつまらない。
そこで彼らは、自分たちでゲームを考え出すことにする。
あらゆる遊びをきわめ彼らの考え出したゲームは
スポーツと知的ゲームとギャンブルの長所がミックスされた
いいようもにほど素晴らしいものだった。
そのゲームにうち興じる彼らのもとに突如、
これまで姿を現したことのなかった本社の重役がやってくる。
「よくやった」
と喜色満面の重役にエリートたちはクレームをつける。
ゲームの開発が目的だったのならば、最初からそういって
くれたら一生懸命開発したのにと。
しかし、重役はそんなクレームを退ける。
「いや、それではだめなのだ。現在あるスポーツやゲームは、
どれも十九世紀以前に生まれたものだ。
そして現在、今ほど新しい遊びが強く求められている
時代はないのだが、人々はせかせかし、
開発する精神的な余裕を失っている。
面白い遊びというものは、理屈から生まれない」
さらに、面白い遊びというものは、生活の苦労など念頭にない
貴族が大金持ちから生まれるものだと分析し、
いかにも満足げにこう続けた。
「そこで、優秀なきみたちを昔のひま人の環境に置き、
アイデアがにじみ出てくる形をとるのを待ったのだ」「遊ぶ精神」
のみが新たな「遊び」を創出しうる。
いかに遊ぶことができるか、
それがこれからのビジネス創造の大きなカギとなるのである。
(谷口正和 著 「遊び」力をつける から)
7/19のブン
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追記(2013/06/02-00:27)
関連:
#3163 【寓話】グランドファーザーとつり人@日記 - HE PROJECT3 2013-05-09
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少し関連:
#2680 3人で入れ替わる@日記 - HE PROJECT3 2012-04-14
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