#4389 【書籍】「学力」の経済学@日記 (2016/09/08)


「学力」の経済学 | 中室 牧子 | 本 | Amazon.co.jp
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なんか微妙な本だった。というのが正直なところかな。

科学的な根拠に基づいて、子どもの学力を伸ばす方法を模索し、
こっちの方がいいよ、あっちの方がいいよって教えてくれる部分はいいと思った。

#4377 【書籍】スタンフォードの自分を変える教室@日記 - HE PROJECT3 2016-08-27

の本でも、めちゃくちゃ実験している。そして考察する。
アメリカってすげー国だよな〜って思いますよ。ホント。

ただね、そう言うわりには、この本、意外とそのような記述の部分って少ないんだよな〜。

結局、パラメーターが多すぎて、とか、
先進国と後進国では違うかもとか、よく分かっていないという結論の部分が多い。お、おい〜。

それから経済学に結び付けたのが、おそらく敗因。
単に科学でよかった。「科学的な根拠に基づいて」でよかった。

それを経済学と結びつけてしまったため、
なんかね〜、教育に対して、
単に学力が上がるための費用対効果の高い方法を取ることが良いことだ、
という結論はちょっと違うと思った人が多いんじゃないかな。
例えばさ、絵を描くこととかさ、学力向上には、無駄の部類に入るんじゃないかと思うんだけど、
でもさ、じゃあ、絵を描くことをまったくやらない方がいい、絵を描くことは金銭的にも時間的にも無駄だ。
って結論に聞こえちゃうんだけど、そうじゃないよね〜って思うわけですよ。

それから
子どもが成長するために、子ども自身の負担と成長量からの効果率を言っているのか、
親が子どもの成長にかけるお金と、子どもが将来稼ぐお金との効果率を言っているのか、
社会が、国が、学校などを通して子どもたちにかけるお金と、それに対する子どもたちの学力の向上の効果率を言っているのか、
いろいろ混ざっていて分かりづらい。


あと思うのは、
学力向上ってことに関して、
落ちこぼれ層の底上げをするという意味での学力向上なのか、
中間層(普通レベルの子どもたち)の学力向上なのか、
上位層をさらに伸ばすということなのか、
これらがぐちゃぐちゃに混ざっていて、微妙なんだよね〜。


あと、最後はさ、なんか仕事くれくれモードなんだよね。
私は、この分野で研究しています。だから、まだこのへんの学力のデータが全然日本にはないから、
私にさせて。私にこの辺の仕事をくれませんか的なモードになるんだよね。
なんだかな〜。って感じ。

この本に書かれている内容で、
「教員の給料を上げても、子どもの学力の向上が顕著に見られなかった。」ってあるけどさ、
そしたらさ、子どもの学力向上のための研究者が研究しても、子どもの学力の向上が顕著に見られなかった。
という帰結が待っているんじゃないかな。

もし、仮に全体的な学力の向上が見られたとして、
全員頭の良い子どもに育ったら、全員給料が高い子になるのか。
絶対にならないよね。

なんかね、いろいろ思うところがあってね、何だかな〜。


もったいない。おしい本だね。


9/19のブン

---------------
追記(2016/09/16-12:11)

■ テストの点が良かったら子どもにご褒美をあげる(アウトプットにご褒美作戦)、宿題をしたら、本読んだら子どもにご褒美をあげる(インプットにご褒美作戦)のどちらが良いか。インプットにご褒美作戦の方が効果が高い。
理由:
「インプット」にご褒美が与えられた場合、子どもにとってご褒美を得るには何をすべきかは明確です。本を読み、宿題を終えればよいわけです。一方「アウトプット」にご褒美が与えられた場合、何をすべきか、具体的な方法は示されていません。
ただし、どうすれば成績を上げられるのかという方法を教え、導いてくれる人がいる場合は、アウトプットご褒美作戦も効果が高い。

また、
子どもをほめるときには、「あなたはやればできるのよ」ではなく、「今日は1時間も勉強できたんだね」「今月は遅刻や欠席が一度もなかったね」と具体的に子どもが達成した内容を挙げることが重要です。そうすることによって、さらなる努力を引き出し、難しいことでも挑戦しようとする子どもに育つというのがこの研究から得られた知見です。


■ ご褒美が子どもの「一生懸命勉強するのが楽しい」という気持ちを失わせていないことが分かっている。


■ 子どもの学力に与える影響として、学校と家庭では、圧倒的に家庭の方が影響力がある。
学校の影響力(学校の先生のレベル、教材のレベル、施設のレベル)はほぼないことが分かっている。
ただ、影響力として、友だちの影響力が高い。
なので、良い友だち(何が良い友だちなのか難しいが)がたくさんいる環境を作ることは良いことで、
そのため、学校を選ぶとか、そういう意味で学校の影響力があるというのは分かっている。


■ 多くの研究で、男子よりも女子のほうが成績がよいことが明らかになっている。


■ 子どもに1時間テレビやゲームをやめさせたとしても、男子については最大1・86分、女子については最大2・70分、学習時間が増加するにすぎないことがわかっている。
子どもにゲームをやめさせても、学習時間が増えるわけではない。
何でなんだろうね。

---------------
追記(2016/09/18-10:07)

そういえば、教員免許についても言及していた。
教員免許のある先生と、教員免許がない先生がいて、どっちが生徒の学力を上げることができるか。差異はあるのか。
アメリカの調査では、あんまりないという結果になっている。
まあ、日本の塾の先生たちを見てると、学力を上げるためだけなら、
教員免許の有無は正直関係ないと自分も思う。
そして、調査では、さらに、
教員免許のある先生たちのバラツキが、教員免許がない先生たちのバラツキよりも大きいと。


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