[#5234] マルクス・ガブリエル＠日記

#5234 マルクス・ガブリエル＠日記 (2019/01/04)

過去の放送 - 欲望の哲学史序章〜マルクス・ガブリエル、日本で語る〜 - NHK
http://www4.nhk.or.jp/P5372/3/

これを見たんですけどね。
なかなか熱いですね〜。

そこで、現代における考察を垣間見ることができる部分があったので、ご紹介。

「
レーガンやサッチャーによって象徴される新自由主義は、哲学的にどう解釈できるでしょう。
実存主義者、構造主義者、ポスト構造主義者たち彼らは、次の一点において皆正しかったのです。
それは「社会とは夢のような共同幻想で、そこにはより深い現実などないのだ」と理解していたことです。★

現実世界とは、深い根拠などない、まさに表面的な仮面のゲームです。★

フランスの哲学者で精神分析家のラカンが、「鏡像段階」と呼んだ状況に突入したのです。
ラカンによると人は生まれた時、重要なものは唯一自分だけだという認識にいます。
他者の存在には気が付いていません。
家族が完全に守ってくれ、世界は自分を中心に回っているわけです。
しかしある時、鏡の中に無力で小さい自分自身を認めるやいなや、自分は全能ではないと悟るのです。
「私」なる主体は初めからあるのではない。「私」は他者との関係性の中にこそある。
奇しくも構造主義の時代の精神分析が現実になったのか。

『
ラカンによれば私たちは他人から見た自己像というファンタジーを想像し合い、投影し合っているのです。
真の自己像が欠落した自己像による闘争状態にいます。
私たちはある意味で、うその現実を作り上げているのです。
社会がイメージの投影にすぎないとしたら、それを利用して人々により多くのものを売ることが可能になります。
共同体におけるセルフイメージの行き交いをコントロールできれば、階級闘争を支配できてしまうのです。
皮肉にも新自由主義は精神分析の理論を受け入れ、巨大な広告産業を生み出したわけです。
』

広告とは、突き詰めればイメージを投影しあうこと。
それ以外に何があるでしょう。
東京の地下鉄に乗ると絶えずよりよいセルフイメージの売り込みにあいますよね？
「もっと美しくなりましょう」「食べるのを控えて」「もっと食べて」「ローンを組みましょう」など。
今や人々は絶え間なく自由の可能性に攻めたてられています。
こうして広告産業は人の心に入り込んで操作します。
これら全部は幻想の産物で本当のあなたなど存在していないということになります。
有名なドイツの哲学者のアドルノらが鋭く指摘した「文化産業」ですね。
いやがおうでも哲学の理論は社会の現実に影響を与えます。
新自由主義は深い哲学的な洞察を巧みに経済システムに組み入れ人々をコントロールしたと言えるでしょう。
」

関連：
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1/13のブン

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追記(2019/02/02-16:02)

世界は多面的で、我々はその一つの面しか見ていないだけである。
歴史を決定するのは、自由な個人の主体性理性である。

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